社内コミュニケーション、足りていますか?
会社に就職した人はみな、上司や同僚との「報・連・相」を欠かさず、ミスのないように業務を進めていかなければなりません。
それは医療現場でも同じです。
現在は、医師や看護師、薬剤師や放射線技師など、あらゆる医学系の養成課程で"チーム医療"を意識したカリキュラムや学習環境が整備されています。
しかし、実際に現場に出てみたら、どうでしょう?
多くの看護師さんは
「医師はいつもイライラしていて、話しかけづらい」
「報告しているのに、うまく伝わらない」
「的確な指示をもらえない」
といった悩みを抱えているのではないでしょうか。
一方、医師の方は
「こちらの都合をまったく考えずに連絡をしてくる」
「具体的に説明してくれないから、状況がつかめない」
「どんな指示を求めているのか、さっぱり分からない」
と思っているようです。
看護師は「ちゃんとした指示を出してほしい」と思い、
医師は「ちゃんとした情報を出してほしい」と思っている。
なぜ、こんなすれ違いが生じてしまうのでしょうか?
それは、
医師も看護師も「チーム医療の大切さ」は学んでも
「具体的なコミュニケーション方法」は教えてもらっていないから、だそうです......。
『こんな看護師は100%嫌われる チーム医療を円滑にするための医師とのコミュニケーション術』(安田透著)
★★今までのライティングの本にはない、挑戦的な表紙!!★★
なるほど、納得!
大学で心理学やコミュニケーション学を勉強しても、会社で上司や同僚と100%うまく付き合えるわけではありませんものね。
「院内用の携帯電話が鳴ったときは、常に最悪の事態を考えながら電話に出ている」
「いつも悪い知らせばかり受けているから、たまに良い知らせが欲しいと思っている」
などなど、現役のお医者さんである安田先生が「医師にしかわからない気持ち」を、包み隠さず語ったうえで、
「だから、看護師がこんなふうに連絡をしてくれたとき、すごく助かった」
「こんなふうに連絡をしてきたから、すごく困ったし、嫌な気持ちになった」
と、ご自身の体験を交えて具体的に説明をしてくれています。
福祉系の専門学校で2年間「わかりやすさ」をモットーに教鞭をとっておられただけあって、文章がやさしく、また一般人には見えない"医療現場の裏側"が見える、ひじょうに面白い本です。
看護師でなくても、最後まで楽しく読めます。読み物としてオススメできます。
私事ですが、家族が入院したとき、もっとリハビリの時間を増やして欲しいと感じたので、それを担当看護師に伝えました。
けれど、いくら待ってもスケジュールは変わりません。看護師に尋ねると「お伝えしましたよ」という返答。たまたま主治医とお話をする機会があり、直接伝えたところ、初めて聞いたという感じで、すぐにスケジュールを変えてくれました。
こうなると、担当の看護師さんと主治医は仲が悪いのかな? などと不安になってしまいます。
でもこの本を読んで「なるほど、医師と看護師って、そういう関係なのか」と、理解できました(残念ながら、そのときの担当看護師さんは"できない看護師"だったようです......)。
学校では教えてくれない、医師との付き合い方。
いま病院で医師とのコミュニケーションに困っておられる方、
これから現場に出る看護学生の方々に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。