2017年5月

2017/05/30回転寿司の名人


こんにちは、スタッフの高木Jrです。

最近、執筆の参考資料として北大路魯山人著「握り寿司の名人」を読む機会がありました。
北大路魯山人は、昭和初期の芸術家、のようなイメージとして知ってはいましたが、著書までは読んだことはありませんでした。

あらすじ
京阪神の寿司は、はこ寿司以外食えたものではないということ、次に自分の理想の寿司を語り、東京の寿司「久兵衛」と「新富本店」はどちらも一流の店だが、持ち味が違う。

「特に久兵衛は、店員の態度がよくて、海苔とお米が美味しい」「新富本店は、ネタが美味しいけど、一人経営だからお米にまで手が回ってなくて美味しくない、海苔もいまいち」と評価されています。
これを見て「じゃあ私も寿司のレビューしてみよう」と思い立ち、本ブログを執筆するに至りました。
回らない寿司はほとんど食べたことがないので、回転寿司のレビューとなります。

※このブログは芸術家である北大路魯山人先生をリスペクトし、特有の言い回しを多数使用しています。これらの言い回しが気に入った人はぜひ著書を読んで、真の芸術家になりましょう。
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西大路廬山寺著「回転寿司の名人」
 京都における回転寿司の繁盛は大したもので、今では十年前の3、4倍はあるのではないかと思う。
手頃な価格で寿司が食べられ、かつジュースやおやつなどもよりどりみどりで選べるところが時代の人気に投じたものだろう。しかし、さて行こうと思ってもお客さんが多すぎてなかなか入れない。無料会員登録をすることで可能になる、予約システムはもはや必須である。
 京都市北区だけでも何十軒とあるのではないだろうか。この中で挙げるとなると、長次郎、すしの武蔵、くら寿司、はま寿司、とけっこうある。最近事務所のすぐ近くにはま寿司ができて嬉しい。
 いったん回転寿司のイイワルイはなんやかんや魚介原料の問題で、第一に素晴らしい炙りうなぎが加わらなければ回転寿司を構成しない。その他、一貫90円だとか、シャリでコーラを作ったりとかするが、まず炙りうなぎが美味しくなくては美味しい回転寿司には仕上がらない。
 注文するか回っているものをとるかでも程度が難しい。注文してすぐにやってくるのは手間が省けるが「まぐろがキンキンに冷えていて、味を感じられなかった」「ご注文が到着しました、というベルが鳴っているのに、自分の注文品が載っているはずの注文皿が空になっていた」ということがよくある。回っているものをとろうとしても、腕の悪いバイトなのか、ネタが皿からこぼれていたりする。
 回転寿司に100円うどんやフライドポテトを合わせて食べるのはもはや必須条件であるが、なかなかむずかしい。いまだにおやつが大学いもしかない寿司屋も珍しくない。さてこんなことをつぶさに心得てる寿司屋はなかなかあるものではない。たしかに先に挙げてみた3、4軒の中にはある。しかし、サイドメニューがない店に限ってネタが美味しかったりするので、商売繁昌、お客さんの好みで分かれる。上物回転寿司屋を発見することは、お客にとってまた苦労のタネである。
 回転寿司屋の上等はやはり品揃えが問題である。

1最上の炙りうなぎ(多分中国産とか、口に含んだらふんわりした感触+たれが絡むのがベスト)
2最上のフライドポテト(量が多く、かつカリっとした食感である。何を注文しようか迷っているときに食べるのに丁度良い)
3最上の魚介類、だいたいにおいて安価かつ脂がのってて食べ応えのあるもの。
4最上の注文システム(普通に回っているものではなく、一席に直接届くもの)
5最上のわらびもち(ひんやりしている良品、なまぬるいのは不可)
 以上さえ整えば、まず流行る回転寿司はできるのである。にもかかわらず、最高の一手を打ち得ないのが一般の寿司屋である。
(2回目に続く)

P.S.ファンのみなさんごめんなさい!

2017/05/29本の装幀の話


皆さまこんにちは。


今日は少し、本の装幀の話をしたいと思います。

本の装幀とはつまり、カバーのことでございます。

先日、「嵐にしやがれ」という番組をなにげなく見ていたところ、
日本でもっとも古くから出版プロデューサーと名乗り「年間100冊以上の書籍を生み出している」ことで有名な、吉田浩氏が登場され、あるお話しをしていました。

「読者は本を見て0.3秒で買うか買わないかを決めている」
「本の売れ行きを決めるのは、タイトルと装幀だ」

出版業界に携わっている方には常識の範囲内のお話かもしれませんが
業界ひよっこの私にとっては「やっぱりそうなのね!」「勉強させてもらおう」なんて
少し鼻息が荒くなるお話でした。

もっとも鼻息が荒くなったのは
番組の中で、
「この装幀は素晴らしい。私はこの装幀を考えた編集者は天才だと思う」
そんなコメントとともに紹介された、ある本を見た瞬間です。

太宰治著 『人間失格』
です。
(装幀はリンク先AmazonのHPでご確認ください)


なんで鼻息が荒くなったのかというと
学生時代、まさしく、私も「これほしい!!」と一瞬で購入を決め、それ以降
お気に入りの本に堂々ランクインした一冊だったからでございます。
(本は普段から直感で選ぶタイプの私ですが、その中でもこの本の決定は最短記録を誇ります)

変ないい方ですが、本の中身は普通に皆様ご存知『人間失格』そのもの。
漫画版でも、新章追加でも、サイン入りでもなんでもございません。

ですがこの本は、装幀をこのデザインに変更した、ただ「それだけ」で
1カ月に7万5000部を売り上げてしまったのです。
集英社文庫『人間失格』の累計発行部数は、1990年の初版から2007年5月までの、約17年間で37万4000部とのこと。
装幀が変更されたのは2007年6月末のことです。そこから1カ月で7万5000部ですから、そのすごさがお分かりいただけるはずです。

装幀のイラストに用いられたのは、かつて大ヒットをとばし、今なおファンの息が熱い 漫画『デスノート』で作画を手がけた、小畑健氏の「デスノート風イラスト」

文庫編集部の伊藤亮さんという方によって企画されたこの装幀が
消費者にいわゆるCDで言うところの「ジャケ買い」衝動を起こし
それまでは、増刷しても年に数千部の売上だった同著書の売り上げを
ドカーンっと変えたのですから、驚きです。

当時、私もデスノートは好きで漫画は全巻読破し、映画も観に行っていました。
小畑氏の作画は美しく、特に男前なキャラクターが私の心をキャッチしていたので
人間失格のカバーを見たときも、目が❤になったものです。
物語を読んでいても、主人公の葉蔵が、装幀に描かれたキャラクターの姿になって動き出すわけですから、男前の切ない物語として若く青い私の胸に刺さったわけです。
本を読んだ当時は高校生の夏休み。
男前好きの私は、装幀がきっかけで本を買い、人間失格を(葉蔵を)好きになりすぎて、
夏休みの読書感想文の宿題に熱をいれ熱をいれ......
よくある学校の特選みたいなものに選ばれるという。(笑)

そんな思い出もあり、
先日の嵐にしやがれは、私にいろんな感情を思い起こさせてくれる
素晴らしい回となりました。

最後はなんとなく話がずれてしまいましたが、
私も一編集者として、こんなワンダフルな装幀を企画してみたいものです。

2017/05/15検察側の罪人

みなさまこんにちは。

ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたでしょうか。

スタッフYはといいますと、ゴールデンウィーク中に飛び込んできた スペシャルニュースに胸をときめかせておりました。

そのニュースというのがですね、 皆様ご存知、
(元)SMAPの木村拓哉さんと嵐の二宮和也さんがついに
来年、2018年公開の映画『検察側の罪人』という映画で夢の共演!

ジャニーズの演技派のお二人が出演される作品です。
わたくしは、木村拓哉さんは『武士の一分』、
二宮和也さんは『硫黄島からの手紙』以降、俳優としてお二人の大ファンでございます。
難しい役所を演じられることが多いお二人ですが、
とくに、目を見張るのは、登場人物たちの「葛藤」を表現する演技です。
見ている側まで、その葛藤に引きずり込まれ、苦悶してしまうことが多々......
それはつまり、観客を映画の中に取り込んでしまうのと同意。
一度、登場人物に入りこんでしまうと、こちらもなかなか作中の世界から抜け出せなくなります。

観客が置いてけぼりになってしまう映画は少なくありません。
しかし、お二人の演技にはある種、視聴者の客観的な目線まで奪ってしまうほど、
作品の中にわたしたちを誘ってくれる。そんな力があるのだと思います。


原作は、雫井脩介(しずくいしゅうすけ)さんの同タイトル『検察側の罪人』 というミステリー小説です。

お恥ずかしながら、私はまだ原作を読んでいないのですが、

あらすじを読んだだけでも

物語がどんな結末を迎えるのか! とてもワクワクしています。



あらすじ

蒲田で老夫婦の刺殺事件が起きた。

事件を担当する検事はベテランの最上毅と若手の沖野啓一郎。

容疑者の名前を調べた最上は驚愕する。

そこには、かつて最上が世話になった寮の管理人夫妻の一人娘を殺害した容疑のある松倉の名前があった。

松倉は殺人事件の容疑があったものの決定的な証拠が出ず、事件は時効を迎えてしまった。

復讐心に火がついた最上はなんとしても松倉を今回の老父婦殺人事件の犯人にしようとする。

正義を貫こうとするあまりに苛烈な取り調べを続けていく最上を見て、沖野は反発する。

正義とはいったい何なのか。

二人の検事がそれぞれの正義を抱えて対決する......

引用:『あらすじ大全』より 


『検察側の罪人』は
2014年に、別冊宝島で発行されている『このミステリーがすごい!』で8位にランクイン。
週刊文春ミステリーベストテンでは2013年に4位を獲得した作品です。

雫井さんの作品には

他にも、2007年に豊川悦司さんを主演に迎えて映画化された『犯人に告ぐ』があり、
こちらも『このミステリーがすごい!』で2005年に8位、
2004年の週刊文春ミステリーベストテンでは1位に選ばれています。

せっかくの出会いですから、これを機に、

雫井さんの他の小説も読んでみたいと思います。

また、
『検察側の罪人』の感想をここでお伝えしたいと思いますので、
わたくしの読了まで、もう暫くお待ちくださいませ。

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